9.11に想うこと

今西礼子

2011年09月11日 17:36

今日は例年よりも非常に複雑な想いに溢れざるを得ない、9月11日。
ニューヨークでのテロ事件からちょうど10年、東日本大震災からちょうど半年が経ちます。
人為的な大災害と、自然の大災害の両方で亡くなられた方々への深い追悼への想いで溢れます。

そして、今、命を持ってこの地上に生きている私たちができることは、他者への思いやりを持つつ、意識的に生きるということではないかと、つくづく思います。もし、テロリストたちが意識的な人たちであれば、彼らの人生は異なっていたでしょう。それに伴い、多くの犠牲者もまだ生存していることでしょう。 そして、大規模な天災は断層のプレートがあったにしても、わたしたち人類がどのように自然から搾取してばかりいたのか、人類の家であるこの母なる地球をどのように扱ってきたかということの、人類全体として責任のように思えます。

しかし、一番、大切なのは、この悲劇を受けて、今、命を持つわたしたちの、一人ひとりの態度ではないでしょうか。
9.11の後にニューヨークで取材をしましたが、ニューヨークの人たちが口々に語っていたのが、意識の変化でした。
普段は非常に冷たい人が多いニューヨーカーたちが、他者に対する思いやりに溢れて、人を気づかうようになったと、皆が口々に語っていました。それは悲劇がもたらした唯一の恩恵だと、取材中に実感しました。
ただ、多くの人は喉もと過ぎると熱さを忘れてしまいます。あのとき、ニューヨークの街全体に広がった、愛と思いやりは、残念ながら薄れつつあり、人々は日常に戻っています。

東日本大震災の爪あとはまだまだあります。物理的な爪あとである瓦礫の撤去は進んではいても、まだ8万人以上の方々は避難生活を送り、被災された方々の心の傷はまだ残っているでしょう。忘却の彼方のことにはせずに、また、無関心にならずに、自分自身の痛みとする思いやりを持つことが大切だと実感します。

そして、そのような思いやりを持って、それを実際に行動に移すと、実は癒されているのは自分自身だと気づくでしょう。ボランティアとは、実際に携わる人が、無私の思いやりを表現することによって、自分たちのハートが開かれて、愛に満たされるというチャンスを与えられたと、実感するようになるでしょう。


先日、このブログでもお伝えした、アメリカ、ニューメキシコ州タオスで行われた若者たちのセレモニーは皆をインスパイアさせて、終了になったと、友人のルースからメールが届きました。若者たちは、自分たちが孤立した存在だと感じているようで、それもタオスで若者の自殺率が高い原因にもなっているとのことでした。日本からも祈りをもってこのセレモニーに参加している人がいると、ルースが伝えると、彼らは非常に感動したということでした。セレモニーの最後、その直前で、わたしはルースから緊急のメールを受け取ったのです。彼らに伝えるメッセージを至急、書いてほしいと。そして、わたしは彼らにわたしの想いを伝えました。


「親愛なる、タオスにいるわたしの兄弟姉妹たちへ
わたしはまだあなた方にお目にかかったことはありませんが、
遥か海の向こうの日本からでも、あなた方とのつながりを感じています。
わたしたちは皆、この母なる大地から生まれたので、実際に大家族としてつながっているのです。
あなたの幸せはわたしの幸せ、あなたの悲しみはわたしの悲しみです。
どうか、このことをいつも忘れないでいてください。
この世界は実は小さいのです。そして、あなたの意識とあなたの存在はこの実際の世界よりも遥かに大きいのです。
日本では大型台風によって27名が亡くなりました。
(9月4日のセレモニーが開催されていた時点。現在は台風による死者は63名。)
今年の東日本大震災では1万5千人の人々が亡くなっています。
どうか、彼らのため、そして、愛する人を失った人たちのためにも祈ってください。
そして、命がとても貴重であることをどうか認識してください。

日本から、たくさんの愛と祈りをこめて」


ルースはセレモニーの最後に、わたしのメッセージを読み上げてくれ、そして、タオスの若者たちが最近の台風12号も含めて、特に今年の日本での大震災で亡くなった魂と、愛する人たちを失った残された人たちへために祈ってくれたということでした。



生きている人たちが悲劇を乗り越えて、この地上で目覚めた意識を持って立ち上がり、
この地上が愛と思いやりに溢れることを、だたひたすら祈るばかりです。




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